前回までに、
◆ 靴の「フルオーダーメイド」と「セミオーダーメイド」の違いとは?
◆ 女性たちがオーダーメイド靴を選ぶ理由と、そのメリットまとめ
をお伝えしてきましたので、今回は実際にオーダーするときに “失敗しないための注意点” をまとめたいと思います!
「早くて安くてフィットする、デザインも兼ね備えたオーダーメイド靴」を買う前に。
靴のオーダーメイドを検討しているという方には、
「自分の足型に合う、歩きやすく、痛くなりにくい靴がほしいから」
「既製の靴を履いてきていて、足にトラブルを抱えているから」
「すべて自分好みのデザインの靴を作りたいから」
といった理由があるものですよね。
基本的に熟練の靴職人なら、上記の希望をすべて満たす靴を作ることができますが、一方で、そもそも物理的に叶えられないこともあり、プロとしてオススメできないデザインの靴もあります。
たとえば「10cmヒールで、10時間歩き続けても痛くならない靴がほしい」というリクエストの場合、物理的にかなり無理があります。一般に、ヒールが5cmを超えると足が靴の中で滑り台のようになり、つま先に負担がかかるものなので、痛みを伴わずに歩けるのは2時間が限度です。
また、外反母趾(がいはんぼし)などのトラブルを抱えている場合、障害の度合いによって、デザインや靴の作り方が違ってきます。診断の結果、明らかに病理がある足型にもかかわらず、足に合わないファッショナブルな形の靴を作ってほしいという方は断られる場合もあります。その他、1日のうちでも足囲、足高の変化が激しい足の方には、ご本人がパンプスを望んでも、ゆるすぎたりキツすぎたりして満足が得られないので、ヒモ付きの靴をオススメされることもあります。
最近はオーダーメイド靴のチェーン店が増えていて、「早くて安くてフィットする、デザインも兼ね備えた靴」が簡単に手に入るように言われることがありますが、本来、オーダーメイドの靴はそのようなものではありません。
ドイツにおける靴職人は「膝から下の外科医」と言われるくらい、足の構造と機能を知り尽くした上で靴を作るもので、その制作には時間がかかります。「早くて安い」オーダーメイド靴は、平均的な足型の方にはフィットするケースもあるかもしれませんが、熟練の靴職人が作るものとは仕上がりが異なりますのでご注意ください。
以上が、靴をオーダーメイドするときに “失敗しないための注意点” の前提になります。
「オーダーメイド靴で何を実現したいのか」を徹底的に考えること。
上記の前提を理解した上で、「オーダーメイド靴で何を実現したいのか」という軸を決めて、デザインを考えていきましょう。
仕事で履きたいのか、冠婚葬祭で困らないようにしたいのか、とっておきのお出かけのときに履きたいのかなど、その目的によって希望のデザインが変わってくるものです。どんなシチュエーションで、どんな服に合わせて履き、どんなふうに見られたいのか、どんなことを感じたいのか……まで想像する(そしてそれを楽しむ)と、靴の色、形、素材などを決めやすくなります。
もちろん、シチュエーションを考える前に「こんな靴がほしい」という具体的なイメージがある方もいらっしゃいます。その場合は、靴職人にデザインを見せた上で、「履き心地はどうなるか」を確認しましょう。見た目が良くても履き心地がいいかはわかりませんので、何を重視するのか、よく考えましょう。
その他、オーダーメイド靴に関する1POINT アドバイス
◆ 本革で作ったオーダーメイド靴は、年を経るごとに味が出て、立派になっていきます。年に1度程度の点検を怠らなければ20年は履けますので、一足のみ作るという場合は、流行のものでない、オーソドックスなデザインをオススメします。
◆ ぴったりとフィットした履き心地のオーダーメイド靴ですが、時間の経過やその人の体の変化などでフィッティングが狂うこともあります(たとえば体重が5kg増えたり減ったりすれば1サイズ違ってきます)。その場合は、靴職人に相談すればフィットするように調整してもらえます。
◆ 靴は2日以上連続で履くと、汗が乾燥する時間が短くなり、汚れが蓄積されやすくなるものです。1日履いたら最低1日は靴を休ませるようにしましょう。
◆ オーダーメイド靴は、すぐに購入できる既製靴と比べると、完成までに時間がかかります。「数ヶ月〜1年待ち」といった予約状況の店もありますので、余裕を持って相談するようにしましょう。
ダイナス製靴株式会社のオーダーメイド靴にご興味がおありの方は、以下からお問い合わせください。ご相談内容に応じて、靴職人がオススメのタイプをお伝えします。